それでも僕らは

そう言って瑞季は握手の手を差し出して来た。僕が手を伸ばしたとたん、彼女は僕の手を引いて、

瑞「今、体育館で新入生歓迎会やってる
の。一緒に行こう!先生の所に案内
してあげる。」

僕「・・・ありがとう。」

僕は彼女の行動力に圧倒されてしまった。

そんな僕らのやりとりの間に、ドレス姿の子はいなくなっていた。

瑞季は僕と体育館に向かうまでの間、色々な事を教えてくれた。

自分が演劇部の部員で、さっきのドレス姿の子も同じ演劇部の子であるということ。
2年A組の担任の佐田先生が演劇部の顧問であるということだった。

体育館の扉の前に着くと、彼女は僕の方を向いて、口元に人差し指を立てて、扉を静かに開けた。

「サッカー部の部活紹介でした。ありがとうございました。続いて、演劇部 部活紹介お願いします。」

司会を担当している生徒のアナウンスが聞こえてきた。

瑞「危なかったぁ、ギリギリセーフ!
私、ちょっと手伝いあるから行って
来るね。先生そこにいるから、じゃあ
また後で。」

そう言って、彼女は佐田先生のいる方を指で指して、ステージ脇に走って行った。
僕は先生の側に行くと、遅刻のことを謝罪し、差し出されたパイプイスに座り、ステージを見つめた。

ステージでは演劇部の紹介が始まり、さっき出逢ったあのドレス姿の子が、お姫様という設定で現れ、生徒を始め先生達からも拍手と声援を受けていた。

「ナガハラさん可愛いー!」

ステージの上で、皆に笑顔で手を振るドレス姿の子に、いつしか僕は釘づけになっていた。