それでも僕らは

そして、それからどれくらい時間が経ったのだろう。

私は、目を覚まし、自分がベッドの上に寝ていることに気付く。
(・・・ここは、保健室?)

「わかりました。後で報告に行きます。」

保健室の先生ではない、聞き覚えのある男の人の声が聞こえた。

スーッ、カーテンが引かれるとそこには友がいた。
(何で?)

友「あ、ごめん。起こしちゃった?
今日、保健の先生いないみたいで、
とりあえず、休ませてもらうのに
ベッド貸してもらった。」

私「どうして友がいるの?山上君は?」

私は、てっきり山上君が保健室に連れて来てくれたと思っていた。

友「山上は、部活に行ったよ。
俺が瑞季に付きそうからって
代わってもらった。」

私「・・・そうなんだ。ごめんね、
迷惑かけちゃって・・・。」

友「別に良いって、気にすんなって。」

私「でも、もう大丈夫だから、友も
部活行きなよ。大会近いんだし、
休んでたらもったいないよ。」

友「なあに、大丈夫だって、そんな
心配しなくて良いから。」

友はそう言うと、思い出したように、

友「そうだ!熱下がったかな?」

突然、私の額に手を当て、自分の額にも手を当てて、熱を確認し始めた。

私は友の行動に動揺して、焦ってしまった。

私「!」

友「うん、大丈夫。熱は下がった
みたいだ。」

私「・・・。」

友「倒れた時、けっこう熱があった
んだよ。・・・ひょっとして、
気付いてなかったのか・・・?」

私「寝不足で調子が悪いのかと・・・。」

友「はあ?全くこれだから、ちゃんと
見てないと心配なんだよ。」

私「・・・ごめん。以後、気を付けます。」

友「まあ、熱も下がって顔色も良く
なったみたいだし、とりあえず安心
した。本当、お前が倒れた時は、
すげぇ心配したんだからな。」

友は笑顔を見せながら、私の頭をなでてくれた。
(・・・やっぱり、私は友のことが好きだ。)

でも、まだ、本当の気持ちは言えない。

そんな私の気持ちを知らない友は、

友「お前、お腹すいてないか?」

そう言いながら、自分が持っていたバッグから、1つのパンを取り出して私に渡してくれた。

私「このパンて・・・。」

友「それ、お前が好きでよく食べてる
だろ。今朝、コンビニで見つけた
から、昼にお前にやろうと思って
買っといたんだよ。」

私「私が、このパン好きなの知ってた
の?」

友「まあな。ずっと一緒に居て、
側で見てたんだから、それくらいは
わかるよ。」

私「・・・ありがとう。嬉しい。」

私は、パンを大事に両手にのせたまま、友にお礼をした。

そして、袋を開いて、パンを一口食べると、

私「美味しい。・・・友、ありがとう。」

私は、笑顔でそう答えると涙が止まらなくなってしまった。

友は、そんな私の姿を見て、戸惑っていた。

きっと、自分があげたパンを私が想像以上に喜んでいるように見えているんだろう。

私の本当の気持ちを知らないんだから・・・。