それでも僕らは

高校に着くと、生徒玄関で靴を履き替え、演劇部の部室に向かう為、ロビーを通ろうとしたその先で、友の姿を見つけた。

私がいつものように声をかけようとした、その時だった。

私「!!!」

私は慌てて口を手でふさぎ、側の柱の影に身を隠した。
(吉川さんがいる!まさか・・・?!)

友の向かい側にはC組の吉川さんが立っていた。
(何で?どうして?吉川さんがいるの?)

でも、それはすぐにわかることだった。

吉川さんは男子サッカー部のマネージャーで、部活があって学校に来るのは自然なことなのだ。

完全に油断していた・・・。

私が動けないでじっとしていると、後ろから声をかけられた。

大「遠野さん、おはよう。」

山上君だ。

私はすぐに、自分の口元に指を立てて静かにするようにうながした。

大「どうしたの?何かあるの?部室に
行かないの?」

山上君は、私が隠れてじっとしている姿を不信に思い、聞いてきた。

私は小声で、

私「そこのロビーに友と吉川さんが
いるの。」

大「え?!そうなの?」

山上君は驚いた様子を見せたが、すぐに、何でもない風に、私の前を通り過ぎ、ロビーに向かおうとした。

私はとっさに、

私「待って、ダメだって!」

と言って、山上君の腕を掴んで引き戻そうとした。

しかし、私はその瞬間、強いめまいにおそわれて意識を失ってしまった。

大「遠野さん!ねぇ、遠野さん!
大丈夫?遠野さん・・・。」

最後に聞こえたのは山上君の声だった。