―――――コンコン

「…あ、はーい!」


ドアが開くとともに入ってきたのは、1人の女の人。

ここ、芸能事務所 Office Nakanisiの社長、中西
暘子(ナカニシ ヨウコ)さん。

ずいぶん深刻そうな顔をしていた。

その表情を見て察する。


あ、慰めに来たんだな、と。


「希生ちゃん、本当にごめんなさいね、私も今回はいけるとおもったんだけど…
なにせワンシーンだけの役だったし、希生ちゃんと同じくらいの歳の役だったし…」

「悪いのはわたしです、社長が謝らないでください。
力がないのはわたしなので…」


ワンシーンだけの女子高生役すら勝ち取れないわたし。

いまさらながら、力のなさを痛感する。