イタリアー。
とある街で、葬儀が行われていた。

私は、特に思うこなく、参列していた。亡くなったのは私の祖父だった。イアンという名前だった。


葬儀が終わり、家に帰ろうとする、私に祖母が話し掛けた。

「帰る前に、私の部屋によっていきなさい」


そう言われて私は、渋々、祖母の後についていった。祖母の部屋に入ると祖母が、

「何か不機嫌そうね?」

と言い、私はテキトーに
「お祖父ちゃんが亡くなったのに、お祖母さんが、あまり悲しそうじゃないからだよ」
と言った。

祖母は、笑って、笑い止むと言った。

「彼氏は、いるの?」

「いっぱい、いるよ」

「うーん、見た目だけじゃなく、性格まで私の若いときに、そっくりね」

祖母は、そう言って台所に行き、紅茶を持って戻ってきた。

差し出された、紅茶を私は無言で飲んだ。

祖母が、ふいに言った。

「わたしが、おじいちゃんと結婚したのは、賭けに負けたからなの」

私は、紅茶を吹き出しそうになりながら

「賭けに負けた?なに、どーいうこと?!?」

と、言うと祖母は、大きな声で笑い、笑い止むと話始めた。



私が、今のあなたくらいの時に、私の父、あなたの曾祖父は、大きな会社を経営していて、ある自転車ロードレースチームのスポンサーをしていたのよ。

あなたも、この国の人間なら多少、自転車ロードレースは、分かるでしょ?

私は、そのチームのサポーターの一員だったの。レースが終わるとチームのライダーは私を、こぞってデートに誘ったわ。

イアンお祖父ちゃんも、その中の一人だった。でもね、私は、イアンとだけは、デートしたくなかったの。