「笹山くん⁉︎」



「何してんの?」



「忘れ物をとりに…」



「ふーん」



「って、笹山くん打ち上げ行かないの?」



「篠田は行くの?」



「行くけど」



「…じゃあ行く」



「そう?じゃ行こ!」



笹山くん、今じゃあって言った?



「篠田」



笹山くんが教室を出ようとしたあたしを呼び止めた


「なに?」



「篠田帆乃」



「え?」



「俺さ、小さい頃マンションに住んでたんだ」



「うん…」



「そんときさ、幼馴染?ってか仲の良い近所の女の子がいたんだ」


もしかして…思い出してくれた?



「俺ん家、結構ゴタゴタしてて辛いこともあった。でもいつもその子の笑顔が支えだったんだ」



「そっか、その女の子、幸せだね。笹山くんにそんな思われて」



「ほっちゃん」



「え…?」



「篠田帆乃、ほっちゃんだろ?」



あたしは涙があふれた…


「どうして…」



「忘れる訳ねーだろ?
初めて篠田の名前見てもしかしてって思ってた。
なのにお前話しかけてこないし…俺のこと忘れた?」



首を横に振った


忘れる?


一時も忘れたことなんかなかった



「かいくん…」



「覚えてんじゃん、久しぶり」



「…っ…久しぶりっ」



「あーぁ、こんなに泣いて」



涙を拭ってくれた


「あのね、かいくんに聞きたいこといっぱいあるの!」



「そのかいくんってのやめろ
恥ずかしいだろ?
魁斗でいい、俺も帆乃って呼ぶ」