レンがいなくなって一週間がたった。

レンは、姿を表さない。和斗が来たのもレンが、退院するときに花を持っきたのが最後だ。



毎日、変わらない。目が覚めて本を読んで、勉強して、勝くんと軽く会話をするくらい。本当に、静かだった。


勝くんとの無言の時間は、前よりも楽だった。無言でも気まずくない。でも、やっぱり静かすぎる病室はレンと出会う前と同じなはずなのに、よけいに物悲しい気持ちにさせた。

「おい…。」

勝くんが自分のベッドに座って本を読みながら、呟いた。
こっちを見ずに、本を見たまま顔も上げずに。

私は、ぼんやりと窓の外を見つめていた。窓には反射して薄っすらと勝くんの姿が見えた。
私も、振り返らずに窓の外を見つめたまま返事をする。

「なに?」

「お前窓の外ばっかり見てるよな。」

「うん…。夏が終わるなって…。もう9月になったし…。」

ペラリッ


後ろから、ページのめくられる音がする。

「待ってるのか?」

「うん…。」

「…。」


勝くんの言葉は不器用だけど、毎日外ばかり眺めてボォーとしてる私を心配してくれてるみたいだ。