次の日。


明日でレンは退院する。なのに、楽しい時間は驚くほどあっという間だ。



三人で、カードゲームしたり、オセロしたり、お菓子食べたり、ゲーム機で対戦したり、途中、和斗が、来てレンと和斗がキャッチボールしてるのを見たりもした。

楽しい!と感じると同時に寂しさがよぎってしまう。

「あはは!!また勝ったー!レン弱いね!」

「いや、もう一回やったら絶対勝てる!」

「お前の、その言葉もう何回も聞いた。」

私と、レンはと勝くんが楽しく話しながら対戦ゲームの画面を見つめる。

私達は、これで今日5回目の対戦だ。

「あ、もう9時だね…。そろそろ寝る準備しないと看護師さんに、怒られちゃうかもね」

私は、自分の枕元にあるピンク色の目覚まし時計をチラ見しながら、ゲームを置く。


「俺もう寝るから。」

勝くんもさっさとゲームをしまうと、自分のベッドに戻り、シャーとカーテンを閉めてしまう。


「みく、星を見にいかない?」

レンは、ゲームを片付けながらにっこり笑う。

「看護師さんに怒られるよ…。」

「すぐ戻ればきっと、大丈夫!」

レンは、なんてことないと言うように言うけど、根拠のない自信もレンが言えば大丈夫な気がしてくる。

「いいよ!行こう!」

私は、カーディガンを羽織り、レンと一緒に病室を抜け出した。














屋上に上がり、扉をあけて二人で空を見上げる。




星…。見えないなぁ…。



私は、目はいいほうだけど小さな星が2、3個見える程度だった。


あの時見た、星に比べたら全然だ。


「俺さ、星好きなんだ!
詳しい訳じゃないけど見るのが好き。小さい頃、友達と流星群見たりしたなー。」

レンは、空を見上げたまま言う。レンのおっきな瞳が星が映っているわけでもないのに、キラキラして見える。

「私も好き!星ってなんか特別」

そう言いながら、屋上の上にポツンとあるかなり古そうなベンチに座る。



私が座った瞬間に、レンも私の隣に勢い良く座った。


ギシィ

ベンチが嫌な音を立てる。

「もう!レン!」

そう言いながらレンの顔を見ると、レンもジッとこっちを見ていた。



…。






…。











数秒間、時間が止まったままのように見つめ合った。

夏独特の、生暖かい風が頬を撫でる。




「みく」

レンは、そっと名前を呼んだ。

「みくは、星がも和斗もたくさん特別になものがあるね!星も和斗もみくにとって大切なんでしょ?あと、あのみくがいつも使ってる栞も大切なものなんじゃない?俺もっとみくの大切なもの知りたいな!」

綺麗な2つの目が私を覗きこむみたいに。


「私の昔の話だけどいいの?。」

私は呟く。



「それ、気になる!聞きたい!」


レンは、嬉しそうにはしゃぐ。

その言葉に、私はそっと口を開いた。