「池上さん!?」
そこまでしてくれることに驚いてしまう。
「俺は、これと言って取り柄もないし
お宅のように矯正しきれてない奴かもしれません。
でも、左利きと同じぐらい……いやそれ以上に
明里さんを大切にしています!!」
「それでも納得いかないなら俺は、
右利きに直します。
ですから娘さんとの交際を……いや。
結婚前提のお付き合いを許して下さい!!」
さらに深々と土下座をする池上さん。
そこには、池上さんの誠意が伝わってきた。
このままじゃいけない。
池上さんが自分の誇りを捨ててまで
私を選んでくれてるのに
私は、何もしないなんてあってはならない。
私は、決心して左手で箸を持つと料理を食べた。
「明里!?あなた……」
「ごめんなさい。私ずっと隠していたけど
お母さん達が居ない時は、左しか使って来なかったの」
自ら打ち明けた。
ずっと隠していたことを……
「明里。やめなさい!?
使うなら右手にしなさい!!」
お母さんは、私に注意をする。
でも、私はやめなかった。



