「俺も一ノ瀬さんが好きだ。
最初の頃。食堂に見かけた時
同じ左利きだったから
嬉しくて勝手に親近感を抱いていた。
そうしていたら、いつの間にか……食堂に行くたびに
一ノ瀬さんの姿を捜していた」

「でも、どうしても話しかけてみたくて……あの時
席が無くて困っている君を見て
話しかけるチャンスだと思ったんだ!!」
そう話してくれる池上さん。

それは……私とまったく同じだった。

お互いに勝手に左利きだからと親近感を抱いて
意識をしていたんだ!?

まるで導かれるように……。

「私も……同じ理由です」
こんな偶然があっても……いいものだろうか?

「マジで!?凄いね……俺ら。
まるで運命みたいじゃん……」
照れたように笑う池上さん。

えぇ、まったく。同感です。

すると池上さんは、立ち上がり
「よし。お互いに両思いだと分かったら
仕切り直しだ!
もう一度デートをし直そう。今度は、
誰も邪魔されないように」
そう言いながら照れたように私に笑顔を見せてくれた。

差し出された手は……やっぱり左手だった。

「はい。」
私は嬉しそうにその手を受け取る。

そしてもう一度デートをやり直した。
今度は、誰も邪魔されない素敵なデートを……。