あれ……?
今日は、居ないのかな?
辺りをキョロキョロと捜した。

その人物は、池上裕一さんだ。
柏木さんと同じ海外営業部なのだが
私と共通の左利きの持ち主なのだ。

明るく人懐っこい性格で
上司や先輩なといろんな人に好かれやすい。
営業成績やルックスは、柏木さんに劣るものの
違う魅力があると狙っている女性も居るとか居ないとか。

私は、初めて食堂の近く彼を見た時
同じ左利きだと知り勝手ながら親近感を持った。
最近増えてきても居るようで居ない。

そのせいなのか
左利きの人を見ると仲間意識が高くなる。
だから彼を見つけるたびに密かに目で追っていた。
そして、それが段々と親近感から恋心に変わっていた。

今日は、食堂も混んでいるみたいだし
自分のデスクに戻ろうかな……そう思っていたら
背中をポンッと叩かれた。

ビクッ!!

「キャアッ!?」

「あ、ごめん。驚かされるつもり無かったんだけど
もしかして場所探していた?」
そう言って声をかけてくれたのは、
池上さんだった。

「い、池上さん!?」
嘘っまさか、本人に声をかけてくれるとは、
思わなかったから驚いてしまう。

「えっ?俺の事を知っているんだ?」

あ、しまった!!