このままだといけない。

せっかくのデートなのに
梨乃さんが原因で台無しになってしまう。
私も頑張らなくちゃあ……

そう言ったものの……上演が始まると
自分は、どうしたらいいか分からなくなる。
観ている映画は、
 
引き裂かれた恋人同士が
困難に乗り越えて結ばれるラブストーリー。

その中には、彼を取り合う三角関係になったり
しているのだが、まさに今の私達みたいだ。
池上さんを間に挟んで座る私と梨乃さん。

私は、隣が気になって映画どころじゃない。
しかも梨乃さんは、途中で眠ってしまい池上さんに
もたれかかってきてるし

うぅっ……羨ましい。
私もあんな風にもたれてみたい。
せっかくの観たかった映画だし寝たらダメなんだけど
こんな風になるなら私も眠りたかった。

モヤモヤしたまま
結局映画の内容は、まったく頭に入って来なかった。

「まったく梨乃は、途中で寝るとかありえないだろ?
それなら来た意味がないのに」

「ごめーん。だってあの映画って後半から
つまらなかったんだもん。
お詫びにランチおごるから許して。ねぇ?」
必死に謝る梨乃さん。

私は、ガーン!!とショックを受ける。
観たかった映画をつまらないと言われたあげく
ランチまで来ようとしているし……。