うぅっ……もう苦笑いするしかなかった。

結局、一緒に観ることになったのだが
席を先に取ったので2席しかない。
これなら梨乃さんとは、別々に座れるかも

「裕君。3席とったら一緒に座ろうね!」
梨乃さんは、まさかの3席を取ってきた。

えっ!?すでに2席取ったのに。

「梨乃。悪いが、すでに席を取ってるから」
池上さんには、そう言ってくれるのだが梨乃さんは、

「えっ?でも、その席だと2人しか座れないわよ?
割引券なんだし、この席の代金いらないから。
損なんてさせないから安心して」
ニコッと笑顔で言ってくる。

代金の問題じゃない。
しかも割引券とか詳しく情報を知っている
彼女を見ていて切なくなった。

何だか私の入れない空間がありそうで怖い。

「梨乃。そう言う問題じゃな……」

「あ、ほら早く行かないと上演始まちゃうわよ!!
急がなくちゃあ」
梨乃さんは、池上さんの意見も聞かずに
腕を引っ張り強引に連れて行く。

唖然とする私。
彼女は、空気を読めないのだろうか?

いや、わざとやっているに違いない。
私と池上さんを2人きりにさせないために。
恐らく彼女は、池上さんのことが好きなのだろう。