「奏。ここだよ。奏の部屋。」

「ありがとう。」

「何かあったら言って。それまではこの子に世話させるから。よろしくね。」

コクン。

そして亜紀は出て行った。

「貴女は?」

「さっきお会いしましたよ?」

「あっ!瑠羅さん。もしかして。。。」

「そう。協力者。さぁ。着替えましょうか。7時から食事会なので着物着ましょう。そこで、亜紀に屋敷を案内させてくださいね。」

「うん。」

またしても胸の所に盗聴器が付いていた。

「後は、私が虹様に連絡します。健康状態等も報告します。よろしいですね?」

「うん。虹に伝言頼める?」

「内容によります。」

「信じてる。1週間後、楽しみに。」

私は、虹を信じる。舞美以外に信じれたのは、彼等だけだから。

「瑠羅さん。おねがいします。」

「承知しました。ではご健闘をお祈りします。」

瑠羅さんは部屋に荷物を運ぶとのことで食事会には来ない。

実は別室で佐久間家に盗聴内容をリアルタイムで送ってるみたいだけど。

「奏。綺麗だね。さぁ行こうか。」

亜紀が腰に手を回す。気持ち悪い。

でも、表の顔で出来るだけ誘惑する様に。

「ありがとう亜紀。貴方との婚約。決まって嬉しいわ。」

亜紀は中学の時にした事で、私を虜。
悪く言うと支配したと思ってる。
それを利用した。

「そうか。婚約発表の日に、僕達も結ばれるんだね。1週間はシないよ。」

よし。もう一息。

「それじゃあキスも、我慢して。会見の席で、魅せつけてあげましょう。」

自分でも気持ち悪いぐらい甘ったるい声で言った。

「そうしよう。本当に君にはかなわないな。さぁ行こう。みんな待ってる。」

そして、1時間位かけて食事をした。
ママ達は、

「亜紀君も格好良くなったわね。仕事もできるのでしょう?イイ子ね静流。」

「ああそうだな。さてと。僕達は帰ります。本当に良い‘契約’ですね。では次は前日ですね。」

「そうだな。玄関までお送りしよう。」

「いえいえ。ではまた。奏をよろしくおねがいします。」

「勿論だよ。」

なんで?パパ達は、平然といられるの?
やっぱりパパ達は、何も知らないんだ。

私は、両親に手を振り、亜紀に言った。

「ねぇ。屋敷案内して。二人きりになりたいの。」

「いいよ。さぁ行こうか。父さん。奏を案内してきます。」

「ああ。俺は、仕事してくるよ。」

「はい。」

よし。この屋敷では二人きり。

「全部見せてね。その前に、着替えて来ていいかな?亜紀も着替えて来て。動きにくいでしょ?」

「そうだな。じゃあ最初に来た場所は分かるよね。そこに来て。」