またあの夢。
私は、苦しくて、辛くて。

これだけは、隠してきた。
過去をいう時にも。

私は、声を殺して泣いた。

そして、朝を迎えた。





コンコンコン

「おはようございます。支那です。」

「はい。」

「失礼します。お嬢様。もしかして、夜。泣かれましたか?」

「はい。少し。」

ギュッ。
支那さんは私を優しく抱きしめた。

「お嬢様。あの夢を見られたのですね。大丈夫ですよ。私や奥様。ご主人がいらっしゃいます。」

そう言って、私から離れて「だから、安心して下さい。」と言って執務に戻った。

支那さんにはどんな事も筒抜けなのね。

「あっ、お嬢様。お選びになったお洋服に合うようにアクセサリーをドレッサーの上に置いておくと言われてました。」

「ありがとう。」

ドレッサーの上にあったのは、黒色のワンピースに似合う真珠のネックレス。
それと5カラットのダイアの指輪。

ダイアは嫌いだから、真珠だけつけていくことにした。

「お嬢様。ダイアをつけていく様に言われていましたよ。」

えっ?嫌だ。

「本当に?ならしょうが無いわ。」

右手の中指にしっかりつけた。

「今日は佐久間様とデートですね。駅まで送ります。」

「ありがとう。」

そこでふと時計を見ると、9時15分!

「支那さん。急ごう。」

「はい。」

私等は猛ダッシュで車まで走った。

「飛ばしますよ。しっかり捕まってください。」

ギューン!キキッ。

「つきました。では、よいデートを。」

「はい。ありがとう。支那さん。今日は自分で帰りますね。」

「かしこまりました。」

支那さんは軽く礼をすると、凄いスピードで去っていった。

えっ?酔わないのって?
最初は吐いたけど、慣れよね。