「ただいま。僕、今から寝るから、邪魔しないでね。」

「おかえり。風呂は入れよ。」

「うん。」

「虹としっかり話なよ(ボソッ」

翔は私に耳打ちして部屋に戻っていった。

「こ、虹!話があるからの、残ってくれるかな?」

「あ、あぁ。お前らももう寝ろよ。ここの風呂。すげえから。」

「うん!おやすみー♪」

「おやすみ!」

「おやすみなさい。行きましょう舞美。」

「!ちょっと待ってね。」

舞美が近づいて来て、

「部屋。もう一部屋借りるね。それじゃ。頑張って。」

コクリ。

何故もう一部屋なのか分からないけど泉龍には狭かったかな?

皆がいなくなってシンとなった、広間で向かい合って座っていた。

「で、話って何?翔と、何か話したのか?」

「翔の過去。聞いたの。今まで、姫とか興味なかったし、恋も興味ないというか、諦めたのに。多分、生きる事にも興味を無くしてた。だけど、だけど!」

「ん?だけど?」

言うのかと思ったら顔が火照ってきた。

「顔真っ赤だけど?そんなに恥ずかしいんだったら言わなくていいぞ。」

「言わせて。私。虹が好き!付き合えるとか思ってない。だけど好きになる位いいよね?」

返事を聞かないうちに何かに包まれた。

ん?抱き締められてる!?!?!?!?

「えっ、ちょっと。虹?」

「すっげー嬉しい。俺も。奏が好き。」

嘘。物凄く嬉しい。

「嬉しい。」

急に抱き締めるのをやめたかと思うと、
チュッ。

キスされた。
ファーストキス
触れるだけのキスだった。

この時はまだ。幸せに溢れてて、世界が真っ白で純白で、何色にも染まれていたんだ。

このままでいたい。

そう思っていた。