闇の音には虹を。

翔Side


あれは、僕が中2の時。

僕と翼は陸上部に入ってたんだ。

僕は短距離。翼は高飛びをしてた。

どっちも、エース的存在でテレビや、雑誌に取り上げられたことがあった。

『今井兄弟！日本代表にまっしぐら！』

っていう感じで。

正直、女子も寄ってきたし、汚い大人と寄ってきた。

でも僕は嫌だと思わなかったんだ。
多分、感覚が麻痺してた。
僕達は分からなかったんだ。潜む影に。

それから、秋の全国に出て、翼も僕も優勝した。

そっからだった。

「足早いからって調子に乗るなよ。」

「その足、切ってやりたい。」

そんな陰口を叩かれる様になった。
だけど、走るのが好きだったから、3年の春までは走れてたんだ。

僕は、図書室の帰り、階段を降りていたら、誰かから。背中を押されたんだ。

俺の体は宙に浮いて。
10段落ちて3段転がり落ちた。

それで足の骨折って、骨再生の反動でアキレス腱切った。

医者には、もう、前の様に走るのは無理だって言われた。

翼も、プレッシャーに耐えれずに、僕と一緒の時期に辞めた。

マスコミはそれを責め立てた。

『翼君は辞めることないのに。』

『翔君の為に！？』

僕が悪者になった。
いや、実際悪者だったんだ。

僕は、リハビリに全力を注いだ。
翼も付き添ってくれた。

その時、翼には、彼女がいたんだ。
翼はああ見えて一途だからな。
だけど。
ハイジャン辞めて、僕がリハビリの成果もあって、ジョグ位出来るようになった時。

別れた。
理由は、翼は僕に、近付く為の道具だ。
って言ってな。

でも、俺は、断ったよ。

翼は別れてから、喧嘩にハマっていった。
僕は、そんな翼に気づかずに、受験勉強をしていた。

結局、僕が、翼の変化に気付いたのは中3の冬。受験前だった。
翼は、余裕で香澄高校（全国トップ）に行ける学力があった。勿論僕も。

受験前最後のテストで、翼は、全教科赤点。それで気が付いたんだ。

翼はおかしいって。