朝日登る頃。

「んー。支那さーん。変装道具どこおいたっけー?」

「おはようございます。変装道具はこちらです。ですがもう、」

「いいの。私は目立つの嫌いだし。」

「せっかくお美しいのに。」

「そんな事ないよ。私は、汚らわしい。」

「お嬢様。まだあの事を。」

「大丈夫。着替えるから外で待機しておいてくれる?」

「かしこまりました。」

ガチャ

支那さん。鋭いな。生まれてから支那さんとは姉妹のように一緒にいたから。

「はぁ。」

姫かぁ。1日目。まだ広まらないはず。
私は、着替え終わり、朝食を食べに行った。

ガチャ

「おはよう。ママ、パパ。」

「おっはよー!奏」

ギュッ。
今日は久々に抱きしめ返した。

「ママ。奏が。奏が。抱きしめ返してくれた。スグに、ウィーン旅行の手配。明後日行くぞ。」

「パパ。そんなこと言わないの。お仕事もあるし、用意も間に合わないわ。」

「そうだな。さぁ食べようか。」

「うん。いただきます。」

今日はコーンスープとエッグブレッド。

「パパ。ママ。行って来ます。」

「あら、もう行くの?送らせるわ。那津さん。よろしく。」

「はい、奥様。」

「ありがとうママ。那津さんも。」

フフ。と那津さんは上品に笑った。

一度十字路で止まってもらって、舞美と一緒に行った。

「お嬢様。舞美様。つきました。」

「行って来ます。帰りは倉庫に寄るので迎えは大丈夫です。」

「かしこまりました。では。」

私と舞美の靴箱は地味に離れている。
ので、

「上履きがない。」

となれば気付くけど、

「あっ、虫。」

となれば気づかない。

位の距離。

私は、深呼吸をして、靴箱を開けた。