愛し、愛されたのは優しい死神でした。


「…暴れるな。真面目な話、安静にしてくれ」

と、突然彼の声が真剣な声色に変わる。

『…えっ…』

「少しでも長くお前とこうしてたいんだ。…お前に触れていたいから…」

更に力が込められて、心臓の音がまともに伝わってしまうのではないかと動揺してしまう。
耳にかかる吐息がくすぐったくて…耳元で囁く彼の声がやたら響いて…思考回路が止まっていく。

どきん…どきん…どきん…

しかし、そんなドキドキもつかの間…。律さんは私の視線の先に懐中時計を開いて見せてきた。
一見普通の懐中時計…針は規則正しいリズムで時を刻んでいる。この懐中時計が何なんだろうか?