愛し、愛されたのは優しい死神でした。


『…う……ん?』

「クス…お目覚めですか?お姫様?」

私の手をしっかり握る温かい手。
落ち着いた低い声。
ほのかに香る石鹸の甘い香り。
そして目を開けると先程見ていた整った顔が目の前にある。

「…おかえり。」

『ただい…ま…?』

そこは見慣れた自分の部屋。
どうやら元の世界に戻って来たみたい。

「相変わらず可愛い寝顔だったな…♪キスしていいか?♪」

艶っぽい瞳を向けられ握っていた手は私の顎を軽く掴んで、くいっと引き寄せた。