『…でも帰り方が解らないよ…。どうやってこの場所に来たのか解らないし…』
しばらく考えると何か閃いたのか、お姉様は明るい笑顔を向けてこう言った。
「よしっ…じゃあ心の中で律さんを呼んでごらん?絶対来てくれるから!!」
『えっ?…うんっ…!分かった!!』
(…律さんっ―!)
固く目を瞑って祈るように彼の名を呼んだ。
同時に元の世界に戻りたいと願いながら―。
それから程なくして肩を軽く叩かれた。
目を開けるとお姉様がにこやかに笑って後ろを指差している。
「後ろ見てごらん?もう来てくれたよ♪」
『…えっ』
言われた通り振り返ると数メートル離れた場所に、いつの間にか律さんが立っていていた。

