愛し、愛されたのは優しい死神でした。


その時ふと視界に入ってきたのは銀色の刃…包丁も洗わなきゃと手を伸ばした。

―そして何の躊躇いもなく気が付けば手首に当てていた。

「――何してんの?ルナ」

低い声が聞こえたと同時に包丁を握る私の手首を包帯が巻かれた手が力強く掴んでいた。

『…岳…さん』

「包丁は俺が洗う。だから…今すぐ貸して?」