飛べない翼

「ん、ありがとう。けど、心配しないで......」


何処となく不安そうな小さな背中にそう声を掛けると、か細い声が返ってきた。


(......大丈夫かなぁ......)


あの様子で心配するなと言う方が無理な話だと思うのだが......。


まあ、


「大人しく帰りを待つ程、僕も立派な人間ではないのですよ、さっちゃん」


そう独りでに呟いて、僕も出掛ける支度を始めた。