飛べない翼

「……仮面を、被ったの……?」


言うと、先生は悲しげに微笑んで、小さく頷いた。


「かも、しれませんね。姉を亡くして、僕は心を病みました。僕はね、さっちゃん。言葉を、忘れたんですよ」


”言葉を、忘れた”


私が目を見開いていると、先生は微笑んで、続けた。


「実は僕、裕福な中流家庭の生まれなんです。そうなると、跡継ぎ問題なども絶えなくて……。第一子が女子と言うのは、両親からしたらそれは残念だったそうです」