念のため言うと、その女性は私の母親ではない。


ここは病院の一室。


病院と言っても、総合病院の精神科病棟。


私の心は病んでいる。


誰とも、関わりたくない。


ナース服に身を包んだ女性、瀬戸さんはニコニコと笑いながら窓を開け、答えない私にしきりに声を掛けてくる。


「沙羅ちゃ~ん? そろそろ起きて~?」