秘めた想いが実るとき


「うん。いただきます」

ブルーベリーが敷き詰められているチーズタルトに受け取ったフォークを刺して口に運ぶ。

口いっぱいにブルーベリーの甘酸っぱさが広がる。
タルト生地はサクサクだし、濃厚なチーズケーキも美味しい。
見た目も綺麗だし、こんなに美味しいんだからケーキ屋でもすればいいんじゃないの?ってレベルだ。

朔斗は頬杖をつき、私の食べる様子を見ている。

「どうだ?」

「すごく美味しいよ」

「そうか。初めて作ったんだが、成功だったみたいだな」

私の為だけに作ってくれたんだと思うと、すごく幸せな気分だ。

ホント、朔斗って何でも出来るんだな。
料理からお菓子まで作れるって……私、女として敵わないわ。


「昨日、正式に笠井さんからこのバーを譲り受けたんだ。何年も前からその話を持ちかけられていたけど、笠井さんにはまだ現役でいてもらいたかったから保留にしていた。でも、そろそろのんびりしたいって言われて、俺も覚悟を決めた」

突然、朔斗が話し出した。

そういえば、この前、笠井さんとお客の女の子がそんな話をしていたのを思い出す。

じゃあ、朔斗はこのバーのオーナー兼バーテンダーってことになるんだろうか。