朝は夕方から雨が降るということを覚えていたのに、ここに来る前にはすっかり忘れてた。

だから、当然のように傘は持ってきていない。

大粒の雨が容赦なく私に降り注ぐ。
激しく雨が降る中、びしょ濡れになりながら駅に向かう。

すれ違う人たちが傘も差さずに走っている私を怪訝そうに見ている。

でも、今日はそんなのはどうでもよかった。
誰にどう見られようと。

「何よ、朔斗なんて……」

冷たい雨に私の心も身体も冷えていく。

悲しいし悔しいし涙が止まらない。
まさか、朔斗にお見合いに行けって言われると思わなかった。

私のことを何とも思ってないという事実を改めて突き付けられた気分。
分かってはいたけど、朔斗にとって私は先輩の妹でしかないんだ。

スピードを緩め、ゆっくりと歩きながらこぼれ落ちる涙を拭いた。

駅に着くと、バッグの中からハンドタオルで申し訳程度に身体を拭く。
ホームのベンチに座り、涙で濡れた顔を隠すように俯いた。

どうしたら朔斗のことを諦めれるのかな……。

心の奥底に秘めている想いが私を苦しめる。
もう限界まできてるんだ。

アナウンスが聞こえ、ホームに電車が滑り込んできた。
鼻をすすり、立ち上がった。

電車に揺られながら外の景色をボーっと眺めながら息を吐く。

そして、胸元をギュッと握り、私はある決心をした。