「もしかして、デートですか?」

「いや、デートじゃないよ。久しぶりに会った人と飲みに行こうかってだけで」

「女性ですか?それとも男性ですか?」

興味津々に聞いてくる。
ホント、こういう話題には食いついてくるんだから。
あのままスルーして帰るのかと思っていたのに……。
どこかにセンサーでもついているのか?ってぐらい鋭いところを突いてくる。

それはそうと、さすがに元カレとは言えない。

「男性だけど」

私の答えに美優ちゃんはキラキラと目を輝かせた。
これはもう、嫌な予感しかしない。

「え、何?」

「久しぶりにあった男性って、どんな人なんですか?」

「どんなって普通のサラリーマンだけど」

「サラリーマンなんですね!あっ、そうだ!唯香さんが頼んだら例のお見合いの仮カレの役を引き受けてくれるんじゃないですか?」

美優ちゃんは、いいことを思いついたとばかりにポンと手を叩く。

「いやいや、そんなこと頼むつもりないから」

「えー、そうなんですか?絶好のチャンスだと思ったんですけど」

残念そうな表情になる。

美優ちゃんは短時間にコロコロと表情が変わって面白い。