「唯香さんはそのお見合いに乗り気なんですか?」

「乗り気な訳ないよ。出来るものならキャンセルしたいぐらいだよ」

切羽詰っていたらお見合いも考えるかも知れないけど、今はそんな状態じゃない。


「ですよね。だったら、その時だけ彼氏を演じてくれる人を探したらどうですか?唯香さん、今彼氏がいないんだし」

「いやいや、そんな面倒な役を引き受けてくれる人なんていないからね」

片手の指だけで足りる男友達はいるにはいるけど、既婚者だったり彼女持ちとかがほとんどだ。
当然、そんな人には頼めない。

そもそも、偽彼氏を頼むとか相手にも失礼だし、そういことで嘘はつきたくないんだよね。

「私の彼氏の友達とかに聞いてみましょうか?」

「ありがと。でも、自分で何とかするよ。最悪、お見合するだけして、あとは何とか理由をつけて断ろうかなって思って」

「そうですか。いつも唯香さんには私の愚痴を聞いてもらったり助けられているので、私に出来ることがあったら何でも言ってくださいね」

美優ちゃんの気遣いに感謝しながらも、日曜のことを考えるだけで憂鬱だった。