『唯香、あんたもうすぐ三十歳でしょ。いつになったら孫の顔を見せてくれるの?和也はさっさと結婚して孫を抱かせてくれたのに。宮村さんとこの奈々ちゃんも結婚したみたいじゃない。そういや、あんたと同級生の田辺さんちの典子ちゃん、もうすぐ二人目が産まれるんだよ。それに、イトコの美穂ちゃんも来年結婚するって電話があったし。美穂ちゃんはあんたより年下なのに』

あー、もう耳にタコが出来る。

お兄ちゃんの子供が三人もいるんだから私なんて放っておいてくれてもいいのに。

うちのお母さんは、周りから誰々が結婚しただの、何人目が産まれるだのそんな話を聞くたびに私に愚痴る。

そりゃ、彼氏の一人紹介できないのは申し訳ないけど、仕方ないでしょ。
私にだって事情があるのに。


昔、私が「典子ちゃんがお人形を買ってもらってるんだから私も新しいのが欲しい」って言ったら「うちはうち、余所は余所」って全然相手にもしてくれなかったくせに。

ホント、親って勝手よね。

誰が結婚して子供を産もうが、余所は余所でしょ!って感じだよ。


『それでね、あんたまだ相手いないんでしょ。だから母さん、お見合い相手を見つけたんだよ』

「えっ?」

まさかの内容に言葉を失った。
お見合い?