会計を済ませ外に出ると、アルコールで火照った頬を撫でる風が気持ちよかった。
だけど、身体の表面と中身は一致しなかった。
飲み過ぎて気持ち悪い。
バーを出て真っ直ぐ歩いているけど、ふわふわと宙に浮いているような、地に足がついていない感じだ。
立ち止まり、深呼吸をしていると背後から声をかけられた。
「おい、そこの酔っ払い」
突然の事に身体がビクッと反応する。
まさか私じゃないよな、と思ってみたものの周りにそれらしき人はいない。
ということは、私に向かって投げかけられた言葉だ。
しかも、その低音ボイスの主は聞き覚えがあり、ムッとしながら振り返る。
「別に酔っぱらいじゃない」
「よく言うぜ。足元フラついてるくせに」
朔斗が呆れたような顔をして近付いてきた。
「お前、飲み過ぎるなって忠告しただろ。俺が他の客の接客をしてる時にこっそり笠井さんに注文しやがって。二度とあんな飲み方すんなよ。酒がもったいない」
その通りで反論すらできない。
「おい、聞いているのか?」
「聞いてます」
覗き込むように言われ、バツが悪く目線を下げた。
「もう遅いから送る」
「え、大丈夫だよ。朔斗、仕事があるでしょ」
まだ営業時間だし、店内には二人組の男性のお客さんがいたはず。



