相変わらずオモテになることで!
嫌味ったらしい視線を横目で送るけど、全く気付いていない。
別にいいんだけど。
はぁ、今日はこのまま居ても朔斗とはあまり話はできない感じだ。
お手拭で口の周りを拭き、帰り支度を始めていたら、朔斗はリズミカルにシェイカーを振っていた。
カクテルを作る姿は本当にカッコいいんだよなぁ。
いつも見惚れてしまう。
それは、他の女の人も同じで。
「朔斗って色気あるのよね」なんてよく耳にしていた。
ふと、私と朔斗の関係って何だろうと考えた。
私には十歳離れた兄がいる。
兄は私のことをすごく可愛がってくれ、私も慕っていた。
朔斗はそんな兄の後輩にあたる。
確か朔斗は兄の三歳下だった気がする。
朔斗と出会ったのは私が二十四歳の頃。
前の職場でのことを相談するため、お兄ちゃんに連れてこられたのが、このバーだった。
今までバーという所に行ったことがなかった。
だから、こんな大人が通うような場所に私みたいなひよっ子が入ってもいいのかと緊張しながら足を踏み入れたのを覚えてる。
でも、バーの雰囲気とかマスターの笠井さんや朔斗の人柄が気に入って、一人でも通うようになったんだ。
そして、二ヶ月経ったある日のこと。
会社帰りにバーに寄っていた。
上司の理不尽さに腹を立て、憂さ晴らしじゃないけど、ついお酒を飲み過ぎてしまったんだ。



