川之江くんは世話好き

4月10日晴れ

川之江荘に来て初日
変態もいるけど、とても居心地の良い場所だと思った
同時に…………可愛い人を見つけた



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「先輩、昨日の人形って……」

「やめて」

「やっぱり幽霊だと思いますか?」

「知らない知らない知らなーい!」

「ほら、薫くんにしずちゃん、早く食べないと学校に遅れるんじゃない?」

「あー、そう言えば今日は部活動紹介でしたっけ……先輩は何の部活に入ってるんですか?」

「…………」

「先輩?」

「雫ちゃんは部活には入ってないよねー?」

「え、そうなんですか?」

「昨日も言ったでしょ? 雫ちゃんはコミュニケーションが苦手だーて」

「ああ、確かに言ってましたね」

「苦手、って訳じゃ無いもん、ただ合わないって言うか……」

「先輩……」

「読書の時間が減るし」

「絶対にそっちがメインですよね?」

「まあ、兎に角好きで一人で居るんだからそれで良いの、ご馳走さま、行ってくるね玲子さん、本田さん」

「あ、ちょっと待って下さいよー先輩、おっとと、行ってきます」

「はい、いってらっしゃい」

「学校頑張ってねー!」

急いで靴を履いて先輩を追いかける
って待てよ、このまま二人で登校したら皆に変な誤解されるんじゃ……
いや、僕は寧ろ嬉しいんだけど
先輩が困るよなー……

「先輩、僕はこっちから行きますね」

「? そっちは遠回りだけど」

「こ、こっちに用があるんですよ」

「……そう」
(何の用事だろ)

「はい、それじゃあ、また」

「ん」



と、勢いで別れたものの…………
道分からないじゃん!
何処、ここ!
どうする、同学年の人の電話番号なんて知らないし…………

「川之江くん!」

え、もしかして先輩が迎えにー

「どうしたの、こんな所で……もしかして家ここら辺?」

「あ……瀬戸さん……いや、実は迷子でさ」

分かってたよ、分かってましたよ
先輩が来るわけないなんて!

「え、じゃ、じゃあ、その、川之江くん、良かったら一緒に行かない?」

「良いの! 是非お願いします!」

良かったー出会ったのが瀬戸さんでー
先輩じゃなかったのは残念だけど……