このごろは六月だというのにこのまま人類がアイスのようにどろどろに溶けてしまうのではないかと思うほどのクソみたいな暑さだった。
いやまぁまだ中学二年でそうなりたくはないが、ここまで暑いとなるとそんなのもいいかもな、なんてことを考えてしまうほど。
外に出ただけでも暑いのに教室なんぞに入ったら熱中症になってしまいそうだ。
一応扇風機はついているものの、上しか風が行かず、ついていてもほぼ意味が無いんじゃないか?
この学校は寄付金だってそれなりにあるはずだからクーラーをつける金ぐらいあるだろう。
校長のケチさを恨みながら教室に入った。
「……うっ」
やはり予想通りの暑さ。
みんなノートやら下じきやらで扇いで風を送っているようだがその顔はもう死んでいた。
クソ、なんで職員室にしかクーラーねえんだよ、職員ってそんな偉いんですか?ええ?
席に着くと斜め後ろに座る上村が話しかけてきた。
上村は顔以外全て平均で、まあまあ頼りにしている親友である。
「はよーヅカー」
「はよ、」
「あれれ?あだ名にはツッコまないんだ、いつもうるさいのに」
いや、言いたかったけど、言いたかったけどもうそんな元気ねえよ。
無理もない。なぜなら俺の中学校の前の道路はすごい坂になっているからだ。
それを自転車でずっと上るもんだから毎朝汗がすごいことになる。
「いいよな、上村は。徒歩通学だもんな」
「えー、いうほどいいもんでもないよー」
例えばーって何かを考え始める。
…………。
…………。
「……ごめん、よく考えたら特に悪いとこなかったわ(笑)」
「殺してやろうか?」
「やめてやめて(笑)」
この暑さでは怒るのですらだるい。
だからなるべく俺を怒らすな。
「暑いから!」
「はいはい、分かりましたよー」
上村が言い終わると同時にチャイムが鳴り、なぜか教室の扉が開いた。
入ってきたのは担任の花山洋二(48)。
いつもはチャイムが鳴ってもこないくせになぜだ。
「はーい、ちょっと喋るの止めてー」
花山は教卓に立つとガラガラ声で喋り始めた。
「えーっとですね、転校生がいるんで、ちょっと紹介しまーす はい。」
その言葉を聞いた途端、顔を伏せたり窓の外を見たりしていた奴らの顔がバッと花山の方に向き、一瞬で騒がしくなった。
「えー、転校生?」
「女子かな男子かな?」
「カワイイ子がいいー(笑)」
「男子って顔しか見ないの?」
夏の暑さに負けず、ということができなかった俺はそんなこと正直今はどーでもよかった。
転校生来るぐらいだったら今すぐクーラーが来りゃいいのにな。
「オイオイ、いくらなんでもそれはないだろ(笑)」
またもや上村が話しかけてきた。
どうやら心の声が漏れていたようだ。
「お前な、そんな涼しい顔してっけど暑くないわけ?」
「まぁ少なくともヅカよりは暑く感じないかなー、ま、やっぱり 俺徒歩通……」
「へぇー」
上村が言い終わらないうちに会話を締めくくった。
もう話すのすら疲れる。
「あ、そだ、転校生女子だぜ」
「なんで上村がそんなこと知ってんの」
「まーぁ、ちょっとね」
職員室の情報網使ってなんか企んでるんじゃないかと思いつつ、半開きになっているドアに目線だけ動かした。
「はーいじゃあどーぞ」
花山のテキトーな合図により、ドアが開いた。
一瞬で静かになった教室にガラガラッと音が響いた。
まさかその入ってきた人物にこれからの俺の人生を狂わされるとは塵ほども思わずその姿に目を奪われていた。
いやまぁまだ中学二年でそうなりたくはないが、ここまで暑いとなるとそんなのもいいかもな、なんてことを考えてしまうほど。
外に出ただけでも暑いのに教室なんぞに入ったら熱中症になってしまいそうだ。
一応扇風機はついているものの、上しか風が行かず、ついていてもほぼ意味が無いんじゃないか?
この学校は寄付金だってそれなりにあるはずだからクーラーをつける金ぐらいあるだろう。
校長のケチさを恨みながら教室に入った。
「……うっ」
やはり予想通りの暑さ。
みんなノートやら下じきやらで扇いで風を送っているようだがその顔はもう死んでいた。
クソ、なんで職員室にしかクーラーねえんだよ、職員ってそんな偉いんですか?ええ?
席に着くと斜め後ろに座る上村が話しかけてきた。
上村は顔以外全て平均で、まあまあ頼りにしている親友である。
「はよーヅカー」
「はよ、」
「あれれ?あだ名にはツッコまないんだ、いつもうるさいのに」
いや、言いたかったけど、言いたかったけどもうそんな元気ねえよ。
無理もない。なぜなら俺の中学校の前の道路はすごい坂になっているからだ。
それを自転車でずっと上るもんだから毎朝汗がすごいことになる。
「いいよな、上村は。徒歩通学だもんな」
「えー、いうほどいいもんでもないよー」
例えばーって何かを考え始める。
…………。
…………。
「……ごめん、よく考えたら特に悪いとこなかったわ(笑)」
「殺してやろうか?」
「やめてやめて(笑)」
この暑さでは怒るのですらだるい。
だからなるべく俺を怒らすな。
「暑いから!」
「はいはい、分かりましたよー」
上村が言い終わると同時にチャイムが鳴り、なぜか教室の扉が開いた。
入ってきたのは担任の花山洋二(48)。
いつもはチャイムが鳴ってもこないくせになぜだ。
「はーい、ちょっと喋るの止めてー」
花山は教卓に立つとガラガラ声で喋り始めた。
「えーっとですね、転校生がいるんで、ちょっと紹介しまーす はい。」
その言葉を聞いた途端、顔を伏せたり窓の外を見たりしていた奴らの顔がバッと花山の方に向き、一瞬で騒がしくなった。
「えー、転校生?」
「女子かな男子かな?」
「カワイイ子がいいー(笑)」
「男子って顔しか見ないの?」
夏の暑さに負けず、ということができなかった俺はそんなこと正直今はどーでもよかった。
転校生来るぐらいだったら今すぐクーラーが来りゃいいのにな。
「オイオイ、いくらなんでもそれはないだろ(笑)」
またもや上村が話しかけてきた。
どうやら心の声が漏れていたようだ。
「お前な、そんな涼しい顔してっけど暑くないわけ?」
「まぁ少なくともヅカよりは暑く感じないかなー、ま、やっぱり 俺徒歩通……」
「へぇー」
上村が言い終わらないうちに会話を締めくくった。
もう話すのすら疲れる。
「あ、そだ、転校生女子だぜ」
「なんで上村がそんなこと知ってんの」
「まーぁ、ちょっとね」
職員室の情報網使ってなんか企んでるんじゃないかと思いつつ、半開きになっているドアに目線だけ動かした。
「はーいじゃあどーぞ」
花山のテキトーな合図により、ドアが開いた。
一瞬で静かになった教室にガラガラッと音が響いた。
まさかその入ってきた人物にこれからの俺の人生を狂わされるとは塵ほども思わずその姿に目を奪われていた。


