理科実験室、私は一人そこにいた。



先生に資料を渡し終えた所で立ち寄ったのだ。



得に用事があった訳では無いが。



「……1人は…嫌だな…。」



その寂しそうな顔はきっとまだ誰も知らない。



私は静かにオバさん結びというやらをほどいた。



少し癖のある長い髪が窓からの風で揺れる。



黒縁の眼鏡を外して。



そこにいたのはもう、地味子ではなく正真正銘の美少女だった。



ガタッ



入り口のドアが音を立てる。



誰かいるのだろうか。



私は窓辺に腰掛け静かにたずねた。



「誰かいるの?」