__ハァッ、ハァッ、ハァ…

逃げる、俺達3人組は、アイツ達から、これが今の俺達に出来る、精一杯の抵抗だ。

アイツらは、悪魔だったのだ、オレ達を食おうとしていたに違いがない、嗚呼、一刻も早く逃げなければ__。

森の木々の間を縫うように走っていると、右隣から、「痛っ!!」という、おかっぱの様な黒髪に青い目、そして何故か左頬には赤い蛇の様な痣が有る男_タスク_から、そんな声が聞こえる。

「そろそろ…足が!!やばいよ!折れる!!バキ、って!!!」


かなり息を切らしながらそう俺に必死の形相で云うタスクは、言うまでもなくかなり限界だ。いや、それはオレだって…というか、俺の左側で走っている男_モテギ_だって、かなり死んだ目をしているのだけれど。


「…タスク、骨はそんなに折れない。」
「そんなにってモテギくん、折れるんじゃあ無いか!!あぁ、もう!!折れる折れる折れ__


と、タスクが異様に折れる、と連呼している時、赤、が森の奥に居た。
当然、普通の森であれば赤色の物など有りはしない、そこにあるのは、ただの、古びた時計塔だ。


塗装も剥がれ、時計の針は止まっている、その中、異様な空気を発しているその建物を、オレ_ナユタ_は見上げる。


「…着いた、ここがオレ達の隠れ家だ。」



と、着いたことに喜ぶタスクやモテギへとオレはそう叫んだのだ。





__今だけは、あの事からは開放されたかったから。