想像してたより背の高い監督が照れた様に部屋に入ると、次に想像してたより遥かに背の低い記者であろう女性が入って来た。

「創鈴社、月刊キネマライフの鳥居 千景です。」

チョコリと頭をさげるとしっとりと艶の有るショートボブが揺れた。

フレームの細い銀の眼鏡の奥で長い睫毛が瞬いている。

正座のまま角度をずらして、そちらにも頭をさげる。

「お待たせしちゃいましたか?」

駿河氏は申し訳ないと言った風でカリカリ頭をかく。

「いえ、私の方が時間より早くに着いていたので。」

時計をしていないので確かな事は言えないが、多分時間通り。

二人に続き入って来た中居って言うのかな?がお茶を注ぐと頭を下げる。

「それでは、お食事をお持ちします。」

そう言うと、そそと下がり障子を締め出た。

「良いお庭ですね。」

思わずそんな言葉が突いてでた。

「最近のお気に入りです、実は修行中の若い人がメインでランチもやってるんですよここ。」

駿河氏、お茶を一口含み、ニコリと微笑む。

「そっちは、お手頃なんで利用するのは概ねランチですがね。」

成る程。

「それでは、対談開始と言う事で宜しいですね。」

私が頷くのを確かめてから監督も頷く。

鳥居君、カバンからレコーダをテーブルに置き録音を開始。

では、宜しくお願い致しまする。