或いは、死ぬ事で伝説になったり、訴えたり、記憶に残ったりする事はよく有る事で。

未だに彼女に関する憶測やオカルティックなゴシップ記事を目にする事が有る。

例えば、飛び降りた彼女の死は、実は他殺であったとか、例えばと或るビデオに彼女の霊の声が入っているだとか。

競演回数も結構ある私の所にも、ドブ臭い目付きの連中が取材に来たりする。

私はそんな連中の期待には応えるつもりは無いのだけれど、何故か

『このビデオのこのシーン××さんの声ですよね、ほらここ!』

『?ちがうと思うけど・・・』

と云うやり取りに付いて、どうやら私は怯えて真実を隠そうとしている事になっていた。

実際その声は、故・彼女と噂の有った男優に組み臥されている新人女優の喘ぎ声にしか私には聞こえないのだけれど。

あんな下手な、喉の奥に引っ込んだ喘ぎ声と間違われるなんて、彼女も不幸なものだ。

でも死んでるんだから、それも関係ないか。



何だか面倒臭くなった。

日付の符号がこんなにも憂鬱なモヤモヤを生むもんなんだな。

やれやれだ。