「ごっごめん、何て言ったの?」と領は慌てた。

「疲れてるみたいだし、もう寝た方がいいと思うよ。」

「うん、でも切りたくない…」本当は今すぐにでも会いに行きたいと、伝えたかった。

「じゃあ、このまま繋いでおく…だからやすんで…」
「うん…ありがとう」

「おやすみなさい…」

「何でもいいから話を聞かせてほしい…」

「わかった。じゃあ、気にしないで眠ってね。領くんが起きるまで電話は切らないから。」

「うん…」

ちひろは何を話したらいいのか迷った。

少し沈黙がながれた。

「……」

「私はFがデビューした時から、ずっと領くんのファンだった。会いたいとずっと思ってたけど、本当に会ってすごく嬉しいけど、苦しいの…」

「……」

「夢の世界と現実の世界を行き来しているみたいで」
「……」

「私は領くんよりも7歳も歳上で、話さなかったけれど夫と子供が二人いるの…黙っていてごめんなさい…ごめんね…」

「……」

「もっとはやくに言わないといけないのに…」

「……」

「クリスマスプレゼントにもらったネックレスは毎日つけてるの。あの日は一生忘れられない日になった。」

「……」