二人は中へ歩き出した。

ちひろは三人掛けのソファーに座り、領は向かいの一人掛けに座った。

テーブルの上にはシャンパンとグラスが2つあった。
領は真ん中においてあるキャンドルに火を付けた。

私は持ってきた手料理をひろげた。

「じゃあ、あけるね。」
と領はシャンパンの栓を抜いて、2つのグラスに注いだ。

「メリークリスマス!」

「メリークリスマス!」

と乾杯をした。

まだ夕方の4時をまわったくらいだろう、ここは別世界でたった2人のためだけに時間が動いているような感覚だった。

領は何度も美味しいと言って食べてくれている。

ちひろはなれないシャンパンに少しずつ酔いながら、大好きな領を見ていた。

いつになく領はたくさん話をしてくれた。子供の頃や、家族の話、もちろん仕事の話。

本当に楽しい時間で、2人だけで過ごせて、手料理を持ってきてよかったと思った。

お腹がいっぱいになったころ
「はい、これ…」

赤いリボンのついた小さな箱が領の手のひらに乗っていた。

「わぁ、ありがとう。」

「すごく迷ったんだ。」

「ありがとう。わかるその気持ち。私もすごく迷ったの。これ私から…」