ピアスの秘密

とうとう私は領君を最後まで見れず、すべてが終わった。

ｽﾋﾟｰｶｰからは何も聞こえなくなり、孤独感、恐怖感が私を襲ってきた。

その時、突然扉が開いた。
涙でせっかくのメイクは崩れ、隅にしゃがみこんでいた私は突然開いた扉を外をみた。
着飾った人が私をみてコソコソと話をしている。恥ずかしくて顔なんか上げられない。

紺色のスーツを着た男性が二人中へはいってきた。

｢大丈夫ですか？立てますか？申し訳ありませんでした。歩けますか？医務室の方へどうぞ。｣
私は何度もうなずいて立ち上がり、どうして私がこんなめにあわないといけないの？お芝居も見れなかったし、どうしてくれるのよ！なんて怒鳴りつけたかった。
だけど、領君の舞台だったから、最後までいい人でいたかった。

言いたい事も言えなくて、ただただ下を向いて泣くだけだった。

｢すこしここで休んでください。その後、タクシーで自宅までお送りします。｣
｢本当に申し訳ありませんでした。｣男性二人は深々と頭を下げて部屋を出ていった。

私が時計を見てみると、ちょうど21時だった。
2時間ｴﾚﾍﾞｰﾀｰの中にいたらしい、すごく疲れを感じた。

ﾍﾞｯﾄへ腰掛け、ため息をついた。