ピアスの秘密

部屋にかえると、電気とエアコンをつけ、すぐにちひろへ電話をした。

「もしもし」

「もしもし、こんばんは領です」

「ごめんね。ありがとう。」

ちひろの声がいつもの感じと違うのに、すぐ気づいた。

「どうしたんですか?」

領は少しドキドキした。

「用もないのにメールして、ごめんなさい。」

「僕はメールがきて嬉しかった。」

領が穏やかに素直に返事をしてくれるから、ちひろはこらえていた涙がまた流れ出した。

「ありがとう。私…今日、熱があって寝てるとき、領くんの事、考えてて…」

「うん。ありがとう。」

「我慢できなくて連絡しちゃった。」

「我慢してたんだ…」

「うん…」

やさしい領のせいか、熱のせいか、涙が止まらなかった。

領もまた、はじめて感情を出したちひろがとても愛しく思えた。

「我慢しないで連絡ください。」

「ありがとう。」

「熱は大丈夫?」

「うん、もう大丈夫。声が聞けて元気になった。」

「すぐ出れないことが多いけど、いつでも連絡ください。」

「ありがとう。今夜はもう寝れるの?」

「うん、寝るだけ。」

本当は台詞の練習、そして5時起きだった。