ピアスの秘密

割れるようなすごい拍手、鳴りやもうとしない。

私は切なく、悲しくて涙が止まらない。

身分の違いが、こんなに愛し合っている二人を不幸にしてしまい、こんなに悲しい愛の形があるのかと、胸がいっぱいになった。

会場の中の人も、感動して泣いているに違いない。

三回目のｶｰﾃﾝｺｰﾙが終わったようだ。まだ拍手の渦は止まない。
私も一人で音をたてないように拍手した。

｢今日は本当にありがとうございました。｣と、領君がさわやかに言った。
きっと深々と頭をさげたのだろう。

｢今日は、こんなにすばらしい楽日を迎えることができ、僕は…僕は…｣泣いているようで、たまらなく会場に行きたくなった。

｢僕は今とても幸せです。共演者のみなさん、スタッフのみなさん、会場に足を運んでくださったみなさん、そして事故により、会場に入れなくて今これを一人で聞いてくれてる方、本当に本当に、ありがとうございました。｣

｢えっ！｣ひょっとして私のことかもと思ったが、そんなことはありえない。
きっと私以外の誰かの事と思うが、ちょっぴりうれしかった。

やがて外が騒がしくなってきた。たぶん会場から人が出てきたんだろう。終わった…