ピアスの秘密

彼は以前より少し痩せた感じがした。

外を眺めている、右側の横顔が引き締まり、いちだんと男らしくなっていた。

「お待たせしました。」と、彼が迷いながら頼んでくれた料理が次々と運ばれてきた。

サラダ、ローストビーフ、春巻き、カツレツ、ピザどれも美しく盛り付けてあった。

彼はニッコリとして

「ちひろさんもたべてね。いただきます。」と食べ始めた。

「ありがとう。」と口では言いながら、今初めてちひろさんって彼から呼ばれたことが嬉しくてたまらなかった。

そして美味しそうにご飯を食べている姿が、私にはとても新鮮で少し眺めてしまった。

「なくなりますよ。」と彼は取り皿にたくさんお料理をのせてくれた。

「おいしいよ。」

「ありがとう。いただきます。」と私も食べ始めた。
穏やかな素敵な時間が流れている。
私はとても心地よかった。
「今日は舞台で汗が目にはいって、痛かったよ。」

「すごい汗でしたよね」

「一回で3ｷﾛは痩せるね」
「しっかり食べないといけないですね。」

「はいっ」と笑顔で私をみてくれた。
じっと見られると恥ずかしいくらい、格好いい。

やっぱり、好きだ。と確信した。