そんなに心配させてたんだ。

別世界の恋、とどかない恋かぁ、どうかしてたんだ私。

里香と共通の楽しみとしてこれからもFを応援していこうと約束した。

今日のパン屋さんの帰り道はとても心が軽くなった。

一週間後、領くんが主役の舞台のチケットが発売されたけど、手に入れることができなかった。

去年より人気が出ていると実感した。

私は見に行きたい気持ちと、チケットが手に入いらなくて少しホッとしている気持ちが入り交じりとても複雑だった。

1人で見に行かない方がいいんじゃないかなぁと里香は言う。
だからといって昌也が好きな里香を付き合わせるのも悪いし、これでよかったんだと思うことにした。

彼を目の前にしたらお芝居なんて頭に入らないと思うし、あの会場のスタッフも私のこと覚えてるかもわからない。

見には行きたかったけど、今回は諦めることにして、次のコンサートは必死でチケットを取って必ず行こうねって、里香と話はついた。

今頃、領くんはお芝居の練習をしてるんだろうなぁ。
透明人間になってみたいな。
そうしたらチケットがなくっても、どんなところも入れるし、誰にもバレないで、ずっとそばに居れる。