それでも12月がやってきた。町もクリスマスの飾りで、キラキラし始めていた。

冬になり、私の心もすつかり落ち着きを取り戻し、電話で話したのは夢だったんだと、思うようになっていた。

夕方、新聞を取りにポストへ行ったら、中に3通の郵便物があった。

2通はダイレクトメールで、残りの1通、宛名は手書きで、春野ちひろ様と書いてあった。
裏返したら、差出人は青木とだけ書いてあった。

「青木って!」声が出た。

私は慌てて家に戻り、ドキドキしながら、きれいにハサミで封を開けた。

チケットが2枚、それは手に入れることができなかった、24日コンサートチケットだった。

うれしくて、胸に抱き締めた。アリーナの3列目、すごくいい席だった。

すぐに里香にいいたくて携帯にかけてみたが、出なくて、メールを打とうとしたが、手までもドキドキして思うように打てなかった。

ありがとう。半年もたつのに覚えてくれてたんだ。


思わず、封筒を逆さまにして、メモなどが入っていないか確かめた自分に、笑ってしまった。

あきらめていたコンサートに行ける。

残りの3週間、恒例の準備に、忙しくなりそうだ。


そして、うれしくてカレンダーの24日にコンサートと記入した。