私は里香に、エレベーターがとまって舞台が見れず、タクシーで送ってもらった話はした。

でも、領君から連絡があったことは話していない。
話せなかった。

ごめんね、里香。

それはたぶん、仲のいい里香に話してしまうと、違う世界の彼が急に近く感じてしまいそうで、恐かったから話せなかった。

10月のある日、私と里香はランチをしていた。

私たちはチケットの争奪戦に破れ、落ち込んでいた。かなりのショックだった。

どうにかして、手に入れる方法はないかと作戦会議をしていた。みつからない。

「今回は会場も狭いから、行けない人もたくさんいるよ。きっと」里香は落ち込んでいた。

「そうだね。私たちだけが行けないんじゃないし。次、必ずいい席で見れるよ。今回は、あきらめよう。」と、言いながら私は、また見れないと思うと悲しくなった。

行くって約束したのにいけないなんて、つくづく私はついてないと思った。

私たちはイヴの予定がなくなり、目標もなくしてダイエットにも全く力がはいらなくなってしまい、平凡な毎日がつづいた。

最近、Fは注目されるようになり、人気が出はじめて、テレビで見ることが多くなってきた。