深夜の電話から3ヵ月、私は携帯を離さず生活するようになった。

ある日、Fのコンサートの日程が発表された。
12月23 24日の二日間、大阪にくる。

今はまだ9月ずいぶん先のことだけれど、今年のイヴは絶対コンサートに行きたい。

私はあの日から、ダイエットをはじめ、がんばって充実した日々を送っている。

あるはずないけど、また連絡があるかも知れないと、少しだけ期待してしまう。

だって彼は、私の携帯番号を知っている。その事だけでも、奇跡である。

時々、考えてしまう。彼と話した着信履歴の番号。
これはどこにつながるのだろう…
ボタンをひとつ押すだけで、彼につながるかもしれない。

私はただの観客、それに主婦だし年上だし、それにそんな勇気はもちろんない。

気が付くと、一日中こんな思いに占領される日もある。
だけど私は大人だからかけたりはしない。そのほうがいいのもわかっている。

夜、里香からメールがきた。
(コンサートするね!もちろん24日に行くよね?きっと殺到するから、がんばって、チケ取ろうね。)
(了解!もちろん。がんばろうね。)チケットを手に入れないと行けない事を忘れていた。

何が何でもチケットを手に入れたいと思った。