ピアスの秘密

「私、2時過ぎの新幹線に乗らないといけない…」

「…」

領の体が離れた。

「…ちひろさん…ピアスしてないんだ…」
少し困った顔をしていた。
「うん…」

「…」

「だから穴を開けたいと思ってるの」

「いいよ、気にしなくて…」領はやさしく抱き締めてくれた。

「開けたいの…はじめてのピアスを領くんからもらったのをつけたい…」

「…ありがとう…」

と言って、両手でちひろの耳を触りやさしくキスをした。

2人の唇が離れたとき、ちひろが言った。

「お願いがあるの」

領はやさしく微笑んでいる。
「領くんに開けてもらいたい」

「えっ!?」

「お願い…」

「ほんとに?……」

「ほんと…」
ちひろはいたずらっぽく笑った。
もっと嫌がるんじゃないかと心配したが、領は少し笑っていた。

「僕が…」

「そう。領くんは誰かの開けたことある?」

「うん、昔二回ぐらい…メンバーのを…」

「私も人のは何度も開けたことがあるの。」

「大丈夫かなぁ?」

「大丈夫よ。痛みには強い方だから。」

「…うん…」

まだ少し戸惑っていた。

「大丈夫。だからお願い」
領は微笑みながら、頷いた。