僕は水善さんに声をかけた。

「水善さん。」

「・・・・・・ごめんね。今は1人にしてほしい。」

「わかりました。」

水善さんは一瞬笑顔を見せた。

その笑顔は胸に深く刺さった。

落ち込んでる場合ではない。いろんな事がありすぎで頭がパンクしそうになっていますが僕は今自分が出来る事をやろう。

僕はそう決めた。

みんなはバラバラに食堂をあとにした。

僕は1人食堂に残った。

「こ、これは顔が誰かわからないくらいズタズタにされている。犯人はどうして''こんなこと''をしたのだろうか?」

少し観察したあとこれ以上このままに出来ないのでテーブルクロスをかけた。

食堂をあとにする前に彼にむかって両手を合わせた。

それは自然と出てしまった行動だった。

多分その行動は僕の精一杯の供養のつもりだったんだと思う。

食堂をあとにして居間へとむかった。

水善さんが心配だったのかもしれない。

水善さんは居間にはいなかった。

どこに行ったんだろう?

居間には朝起きた時に片付けていなかった毛布があったのでそれを片したあと屋敷内を歩き回った。

水善さんはどこにも見当たらなかった。

まさか、まだ調べていない寝室にいったんじゃ?いや、あの部屋の鍵がまだ見つかっていない。中に入れる訳がない。しかし、水善さんがどこかで見つけていてすでに持っていたって可能性も・・・。

僕は髪をグシャグシャしたあと各部屋の隅からすみを探した。

「っ⁉」

居間のゴミ箱に鍵が入っていた。

ちなみに居間を探したのは今日4度目だった。

ここのゴミ箱に鍵が入っていたということは昨日から今日にかけてここにいた人物ということになる。笹原くんは違う場所で夜を明かしていたから除外される。となると寝室の鍵を持っていたのは、

「水善さん。」

僕は小声でそう呟いた。

たぶん、どんなに考えてその答えにたどり着いてもその答えを信じていない。信じたくないんだと思う。

「今はこの鍵で寝室の中を見てみよう。考えるのはそれからです。」

僕は居間で見つけた鍵を持って寝室にむかった。

寝室のドアの前で僕は立ち止まった。このドアの向こうには何があるんだろう?そう思った。

ドアの鍵を開けた。後はドアを開けるだけだ。

少し手が震えた。

僕はゆっくりドアノブを回しドアを開けた。

ガチャッ

「っ・・・・・・・。」

寝室は壁や天井に血のような赤いものがこびりついていた。

「これ・・・・・は・・・・・一体?」

まさか、ここで殺人があったのか?

この血は食堂で亡くなられた方のものなのか?

僕はその血に触れて、まるで探偵かおまけの手つきで観察した。

これはここ最近のものじゃない。50年くらいの年月は経っている。

たぶん。ここの主人が殺したのだろう。

誰かを。

僕は部屋にあったクローゼットを開けてみた。

中から''高そうな服やアクセサリー''が出てきた。

ベッドのシーツや床にも血がべっとりついている。

床にはネクタイが落ちていてそのネクタイにはネクタイピンがついていた。

机の上にでさえ血が飛んでいた。

机の上には・・・・・、